コロナウイルスで大打撃を受けている航空業界ですが、ANAとJALが2019年度の決算を発表しましたね。
それぞれの決算発表のページを見てみたのですが、素人ながら
JALよりANAの方が先にヤバイんじゃないか!?
って思ってしまいました。
もちろん、どっちにも潰れて欲しくありません。
元々ANA派の僕はSFC修行もしたくらいですが、この先がかなり心配になってきました。
圧倒的に負債の多いANA
億円 | 総資産 | 自己資本 | 自己資本比率 | 現金及び預金 | 有利子負債残高 | 純有利子負債残高 |
JAL | 18,593 | 10,948 | 58.9% | 3,291 | 1,917 | -1,374 |
ANA | 25,601 | 10,610 | 41.4 | 2,386 | 8,428 | 6,042 |
決算資料から気になるところだけ抜粋して表にしてみました。
各項目の意味を簡単な言葉でしてみます。
- 総資産:会社の全ての資産を合計した金額
- 自己資本:会社の総資産から負債額を差し引いた金額
- 自己資本比率:返済不要の自己資本が全体の資本の何%かを示す数値
- 現金及び預金:すぐに使えるお金
- 有利子負債残高:負債のうち利子をつけて返済が必要な額
- 純有利子負債残高:すぐに使えるお金を差し引いて、それでもまだ返済が必要な負債
まず総資産で比べるとANAの方が圧倒的に多いですが、自己資本で見ると逆転します。
JALの方が借入金への依存率が低く、自らの体力で経営していることが分かります。
すぐに使えるお金としての「現金及び預金」もJALはANAより1,000億円くらい多いです。
さらに、一番気になるのが「借金」です。
「有利子負債残高」の差が凄いです。
ANA:8,428億円
JAL:1,917億円
ANAの方が6,000億円以上借金が多いことが分かります。
この借金を先ほどの「現金及び預金」で相殺した額として「純有利子負債残高」がありますが、
JAL:-1,374億円
ANA:6,042億円
つまり、JALのマイナスの意味とは、今ある「借金=有利子負債残高」を「すぐ使えるお金=現金及び預金」で返したとしても、まだ1,374億円手元に残ります。
ということです。
逆に、ANAはすぐ使えるお金で借金を返しても、まだ6,042億円借金を返す必要があるということです。
先行投資のANAと堅実経営のJAL
このように考えると、ANAが如何にピンチかが身に染みて分かってきました。
ANAは2020オリンピックを控えてかなり先行投資をしていましたね。
ハワイ路線へのA380投入やホノルルラウンジの開設。
さらに、ヨーロッパを中心に新規就航を次々と発表していました。
その先行投資で借金が膨らんだところにコロナです。
ちなみに「純有利子負債残高」は昨年と比べて一気に1,000億円も増えていました。
それだけ2020年がANAにとって勝負の年だったことが分かります。
反対にJALは2010年に一度倒産していることから堅実経営をしていたのが功を奏しています。
それでも昨年と比べて「現金及び預金」は2,000億円も減っているので全くを気を抜けません。
1.3兆円融資のANAと3,000億円融資のJAL
世界中の航空会社がピンチの中、4月上旬にいち早くANAが1.3兆円の融資要請を発表してニュースになりましたね。
そんな中JALは体力があると言われていたにも関わらず、ついに4月末に3,000億円の融資要請を発表しました。
これだけ堅実経営をしていたJALでさえ助けを求めないといけない状況だということです。
また空を自由に飛べる日を夢見て
決算状況を見てみると、こうした企業体力の他にも運行状況を見るとコロナの影響がとんでもないことになっているとよく分かります。
そして、今ですら厳しいのに、この先の見通しでいくと各社さらに厳しい見方をしています。
コロナがいったん落ち着いても、すぐに以前の出張や旅行需要が戻ってこないということです。
少なくとも夏くらいまではこのような状況が続くことが予想され、企業がいつまで耐えられるのか全く予想がつきません。
大手航空会社ですらこのような状況なのだから、中小の航空会社がバンバン倒産しても不思議ではないです。
旅好きとしては今すぐ乗って助けたい気持ちはあるものの、今乗ることでさらにコロナが広がって回復が遅くなるようなことだけはしてはいけません。
今はじっと耐えて、再開した時に精一杯乗れるように今は翼を休ませておこうと思います。
ANAもJALも大好きな航空会社です。
また空港でピカピカの機体に会う日を楽しみにしたいと思います。